絶対に守るから。
ただ、城に来る前も来た後も。弟に会わせてもらった事はない。でも、弟と俺の身を案じてだって理解している。弟について彼女自身が接点を持たなかったのも、きっと俺たちを助けた事を気付かれ、彼女なら吸血鬼の町に隠すだろうと勘づかれないため。俺や弟が危険な目に会わないためなんだ。

「やめてよ・・・っ。俺は大丈夫だからちゃんと治してよ!」

「大丈夫、カーレイジのためじゃない。私が後悔するから。私のためなのよ」

手を握って訴えても考えを変えるような人じゃないという事は分かっているんだ。素直に言う事を聞いてくれるほど、可愛いげのある人ではないという事も一緒に住んでいた俺が一番知ってる。でも、だからって何もせずに見過ごす事は出来ない。だって無理をして何かあったら、何もしなかった自分に腹が立って二度とそばにいれなくなるから。
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