絶対に守るから。
ヘゥインはいつだってそうだ。俺に責任を感じさせないために俺のせいではないと念を押す。自分が後悔するんだと俺を安心させるために笑う。ヘゥインの作戦なんだって分かっているのにこの言葉を聞くと反論できなくなる。ダメだって、絶対に止めなきゃって思っているのに。どんなに強い気持ちを持っていても分かったって言ってしまう。

「出席しない事でお前が後悔するんだとしたら思いっきりしていろ。吸血鬼の貴族から町の様子を聞き出すのなんて、お前が俺たちに命令すれば済む事じゃねぇか。命令してみろよ、聞き出してこいってよ」

ハウラムという兵士はヘゥインを挑発しているような口調で思いを伝えていた。俺にはなぜ挑発するような口調なのか、理解できなかった。自分の事は棚に上げて、仮にも召使いなんだから姫であるヘゥインに敬意を払わなくて良いのかとも思った。でも、嘲笑っている表情の奥にあるハウラムの目は苦しそうだった。
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