絶対に守るから。
まるで頼むと言ってくれと願っているのような瞳で彼女を見つめていた。心配しているようにも見えてならなかった。どうして辛そうな瞳で彼女を見ているのか、辛いのならなぜ素直に行ってほしくないと言わないのか。俺には何も分からなかった。

「私は自分の耳で確かめたいの」

「いい加減にしろ!お前が倒れればこのガキが一番傷付くんだ!お前は自分の我が儘で俺たちを傷付けようとしてんだよ!!」

残響が残った部屋の中は静まり返った。
ただ、掠れながらも出そうとする彼女の声がハウラムには怒りの火種にしかならないんだという事だけは俺でも分かった。現にハウラムは彼女を強引にベッドへ押し倒し、腕を掴んで彼女の動きを封じるとハウラムの声は廊下に響いてしまうほど大きな物になった。
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