絶対に守るから。
ハウラムの何が信頼させているのかしら。過ごした時間や仲の良さだと言えば何も言い返せないけれど、たぶん説明できるような理由で信じているわけでは無さそうね。

「危ねぇ!お嬢ちゃん!」

「・・・。姫様、大丈夫ですか?」

はしごを使い、上の方にある本を見ていたゾーラ医師が手を滑らせて本を数冊落としてしまった。握られているこの手がせめてもの救い。彼女が危ないという事しか頭になかった私は手を離して手首を握り、自分も倒れてしまいそうなくらいの力で彼女の腕を引いていた。
咄嗟の判断と言えど後先の事は考えるべき。身を持って思い知らされたわ。彼女が怪我をしなかった事に安心して肩を撫で下ろしているゾーラ医師とは裏腹。私の鼓動は今にも破裂してしまいそうなくらい激しく動いていた。
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