きらり、きらり、
実家で私が両親と寝起きしていた部屋は西向きで、隣の家が少し奥に引っ込んでいるせいで、夕焼けがよく見えた。
昼寝から目覚めると部屋が真っ赤に染まっていることがたびたびあって、そんなとき世界でひとりぼっちになったような心細さを覚え、大きな声で母を呼びながら泣いた。
暗闇は暗闇で怖いけれど、夕暮れのあのなんとも言えない悲しみは、大人になった今でさえ、心のどこかに残っている。
みんなそうなのかもしれない。
夕暮れは泣きたくなるほど人恋しい時間だ。
だから今、とても悲しい。
17:12。
電気もつけない部屋で、携帯で時間を確認した。
ディスプレイの明かりがまぶしくて細めた目元は濡れている。
こんなに暗くても、昼と夜の境目にある悲しみが出ていかない。
「雪?」
ずっと晴れていると思っていたのに、カーテンにはちらちらという影が見える。
その儚げな動きを見ていたら、滲んでいた涙の量が一気に増した。
会いたい。
なんでこんなことしちゃったんだろう。
もっと一緒にいたいなら、自分でそう言えばよかったのに。
きっと小川さんはわかりましたって、ずっと一緒にいてくれたのに。
会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。
目覚めると真っ暗な中にひとりいて、ファンヒーターさえ止まっていた。
泣き疲れていつの間にか眠っていたらしい。
寒さに震えながら窮屈なワンピースは脱ぎ捨て、髪に刺さったたくさんのヘアピンも取ってそのままベッドに入った。
今度は眠れなかった。
身体がなかなかあたたまらない。
思い悩んではうとうとすることを繰り返し、朝方ようやく深い眠りに落ちた。
携帯は、もう鳴らなかった。