Deal×Love
耳を擽るように囁かれる甘い台詞。
こんな状況に慣れていない私には眩暈が襲ってくる。


「完全に海を忘れさせてやるから」


完全に、海さんを忘れる……?


まだ海さんとは、キスすらしていない。

洸君とは奪われた形だけれど、キスをした。

それに洸君は私を好きだと言ってくれている。

きっと彼と恋をするのが一番良い。


「椿」

洸君は私の名前を優しく呟いて、私の頬に触れる。

その洸君の優しさに心はグラグラ揺れる。


一人になったら心が平常心を保てなくなって、自ら自分を益々暗闇の底へと沈めてしまうんじゃないかってくらい打ちのめされている。

叶わなくて報われない恋が、こんなに辛いものだなんて初めて知った。

涙はずっと止まらない。

私の今の心は、生きてきた中で一番ドン底にいる。
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