Deal×Love
いずれ、海さんを忘れなきゃいけない。

今、洸君に身を委ねれば、ラクになれるかもしれない。

目の前には、大好きな彼に似た顔と香りと声があるけれど……


……でもこの人は、海さんじゃない。


でも、海さんは、私を要らない……。


でも、私は…………




『ブブブブブ!』


私の迷う心に気付いたのか、タイミングよく邪魔してくれた携帯のバイブ音が手に持っている巾着袋から伝わってきた。

口では「ごめん、電話」と言いつつも頭ではホッとしながら、私は自分に絡まる洸君の腕をそっと下ろすと立ち上がり、洸君から離れた。
少し落ち着こうと息を少しフーと吐きながら巾着袋から携帯を取り出した。

が、私は画面に表示されている名前を見て、落ち着こうと思っていた脳は再びパニックな状態に陥った。

震え続ける携帯の画面には、『着信 神島海』と書かれているから。
< 369 / 424 >

この作品をシェア

pagetop