Deal×Love
母は優しい。

でもただ優しいだけ。

だって私の結婚の時だって私に謝っただけでただ見ていただけ。

私が母だったなら、何がなんでも結婚を止めさせて絶対に父を止めたわ。

母親なら自分を顧みずに父を止めるべきだと思うから。


「……御姉様、すいません……」

突然何故か桜に謝られた。

「どうして謝るの?貴女は何も悪くない」

私は振り向いて優しく宥めたが、未だに桜は申し訳無さそうな顔をしている。

「浴衣を着てらっしゃるから、誰かとお出かけしてらっしゃったんじゃ……」


その言葉に下駄を履いて浴衣姿だったことを思い出し、胸の奥が一瞬で苦しくなった。


「……大丈夫、気にすることじゃないから」

私は桜が気に掛けないように笑顔を作って返す。

だって彼は私を置き去りにしたから……。
< 385 / 424 >

この作品をシェア

pagetop