Deal×Love
自分の部屋に入る。

ベッドと机がぽつんとある殺風景な部屋だけれど凄く幸せな気分。

母と桜に会えないのは寂しいけれど、父が居ないのは最高だ。

もうベッドにいるウサギのぬいぐるみを投げることも無い。

あの人に苛々させられることもない生活。

こんなすぐに手に入ってしまうなんて夢のようだ。

今まで痛い思いさせてごめんね、ウサギさん。とベッドの上で抱き締めながら心の中で謝罪した。






次の日、偽の結婚生活二日目。


「海さん、ひさ子さん、おはようございます」

朝の七時前にリビングに出ると、スーツ姿の海さんとひさ子さんが居た。

慣れない空間に「おはようございます、椿御嬢様」と慣れ親しんだひさ子さんが居てくれて少し緊張が和らいだ。

すると海さんは「おはよう」と言いながら何故か私に近付いてくる。
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