Deal×Love
なんて心配していたけれど、


「おはよう、僕はもう行くね。ゆっくり食べて」

「いってらっしゃいませ」

朝の七時前、海さんは今日も出て行った。

ひさ子さんの気遣いの日からこうなった。

しかも玄関までの見送りは大丈夫とやんわりと拒否されて。

きっとこれも海さんの私への気遣い。
私が自分を気に掛けないように過ごさせるため。

私は一人、冷蔵庫に張られたひさ子さんのメモの指示通りに料理を温めて食事を取る。
ひさ子さんに教えてもらい、初めて使った電子レンジも少し慣れてきた。


「何、しよう……」

食事を取りながらボソリと呟いた。

実家に居た時は、父には苛々しながら、母と妹には気遣って過ごしていた。

あんなにもずっと家を出たいと考えていたのに、いざ家を出たら何をすれば良いのか分からない……。
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