2番目に君を、愛してる。

水族館の後は人通りの多い商店街で食べ歩きをしたり、神社でお参りをした。


浴衣姿の女性が多く、商店街のポスターには花火大会の情報が宣伝されていた。

どうやら今夜のようだ。


できたてのお饅頭を頬張りながら、ポスターを見つめる。恋人が花火を見つめる後姿が描かれたポスターはロマンチックで、羨ましい。


「行きたいところあるんだけど、良い?」


「はい、どこですか!」


事前に買っておいたマップを開く。
有名な観光スポットが載ったガイドブックだ。


「すぐ近くのはずなんだけど…あ、あれかな」


和菓子店に挟まれるようにして建つ写真屋を新藤さんは指差した。


七五三や誕生日の記念に撮られた写真が張られた店内に入り、カメラを持って来ていないことに気付く。


「新藤さん、カメラを買いましょう」


使い捨てカメラを手に取ると、新藤さんは頷いた。


「それより先になっちゃんにお願いしたいことがあるんだ」


お願い?新藤さんのお願いならなんでも叶えようと意気込むと、店の奥から着物姿の中年の女性が現れた。

紫の品の良い着物だ。


「新藤と申します。よろしくお願いします」

「いらっしゃいませ。2階へどうぞ」


女性は新藤さんではなく私を見て言った。


2階?


「浴衣の貸し出しを行ってるんだ。着ておいで」


「浴衣を着るんですか!?」


「花火、見て行くでしょう」



ああ、そうか。

最初から花火大会のことを考慮して日程を決めてくれたのだ。そして浴衣レンタルまで予約してくれて。

全部、私のために。

この"お願い"は、彼のためでなく私のためのもので、また心がじんわりと温かくなった。

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