2番目に君を、愛してる。

全ての花火が打ち上がるまで、私たちはそこにいた。

私は帰りたくないと思っていたし、新藤さんも"帰ろう"とは言わなかった。

大衆が駅を目指して歩き出し、その波につられるようにして歩き出す。


「転ばないでね」


そっと手を差し出され、重ねる。

転ばないように、
人混みで迷子にならないように、
どちらにせよ子供の私を気遣っての行為だろう。

成人を迎えることで、大人扱いしてくれるのだろうか。


「新藤さん、もう少し歩きませんか」


せっかく着せてもらった浴衣を脱ぐことを勿体ないと思ってしまった。たまにのお洒落に心が踊り、まだ帰りたくない。


「電車が混むだろうしね。時間を空けてから帰ろうか」


私のわがままに真っ当な理由をつけて同意してくれた新藤さんに引かれるようにして人の波から逃れ、狭い路地に入る。


「足は疲れてない?」


「私は大丈夫です」



水族館からずっと立ちっぱなしだが、楽しいという気持ちが優って疲労は感じなかった。

着物のレンタル時間が20時までだから、後40分くらい…帰りたくないな。
水族館では空気を悪くしてしまったがそれを含めても良い一日だった。ううん、楽しい日に新藤さんがしてくれたんだ。


「結局、私ばかり楽しんでしまって、新藤さんは…」


「もちろん俺も楽しかったよ」


私の言葉に上乗せされた台詞はいつも以上に温かくて。


無性に愛おしさがこみ上げてくる。
繋がれた手をギュッと握る。


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