2番目に君を、愛してる。
「急にどうして?」
「本屋さんで参考書を選んでくれた新藤さんに絶対に無理だと言って断りましたけれど、合格圏内の大学を目指すことよりも背伸びをして挑戦してみようと思いました…1番の理由は少しでも新藤さんに近付きたいってことですけどね」
運転中の新藤さんは一瞬だけ私を見た。すぐに照れ隠しのために下を向く。
「新藤さんと同じ大学に通えたら夢みたいだ…という願望ですけど、私にとっては最大のモチベーションです」
「先日、親しい教授に呼び出されて足を運んだ大学内で君に会って、もしかしたら…とは思ったんだけど、受験することにしたんだ」
心なしか新藤さんの声が弾んだように聞こえた。
オープンキャンパスの日。
あの時は自分の未来に新藤さんはいないと、そう暗い気持ちを抱えていた。
新藤さんの母校に入学することだけを支えに日々を淡々と過ごしていた。
「新藤さんは私に夢と、希望を与えてくれるんです。あなたと一緒なら私は何者にもなれる気がします。今まで知らなかったけれど"愛"って凄いエネルギーですね」
恋する女の子が最強だと比喩される意味がやっと分かった。今までは未来に胸を馳せたことはなく、兄にばかり依存していたけれど。
これからの私は、兄をも支えられる立派な大人になりたいと思うんだ。
「…ちょっと、ヤバいかも」
え?
近くの駐車場に車を滑らせた新藤さんは、空いている場所で停車した。
「あまり可愛いことを言って俺を困らせないでよ」
シートベルトを外した新藤さんが早急に近付いてきて、思わず後ろに逸れる。
「逃げる気?」
新藤さんの手が伸びてきた。
冷たい手が私の腕に触れる。
「ーー今、君に触れることは犯罪かな?」
真っ直ぐな瞳に囚われる。
今日もまた彼の人差し指が私の唇に触れた。
それに応えるように、顔を近付ける。
新藤さんの顎に手を添えて
今日は私から、
すべすべの肌にそっと口づけた。