2番目に君を、愛してる。

「すみません、これください」

新藤さんは店員を呼び、ショーケースにあるネックレスを指差した。


私、なに言ってるんだろう。

今、自分のお財布の中に万札はゼロだと分かっているのに、なんてことを口走ってしまったのだろう。

自分のことではあるが理解不能だ。




「電話だ。ごめん、払っておいて」


携帯を耳に当てながら新藤さんは黒いお財布を私に預けた。

えええ?

ちょっと待ってください、そう言う前に彼は足早に店から出て行ってしまった。


渡された有名ブランドのロゴが入ったお財布を見つめる。


どうしよう…。


ネックレスの入った箱が綺麗にラッピングされ、店員から値段を告げられる。


今更、やっぱりいいです、
なんて言える状態ではない。


恐る恐る二つ折りのお財布を開く。


そっと中からお金を取り出して、店員に渡した。


なるべく中を見ないよう意識していても、何枚かの一万円札が見えた。


そして、免許証も入っていた。




いけないと分かっているのに、そっと免許証を取り出す。


私を信用してお財布を預けてくれているのだから、この行為はーー裏切りだ。


それでも止められなかった。

何故か胸が騒ぐ。



免許証には、




新藤 冬樹ーー確かにそう書かれていた。


住まいは港区。


生年月日から計算して
新藤さんは今、27歳なんだ。


写真の中の新藤さんは、今と少しも変わらず、
とてもかっこよかった。

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