大江戸ロミオ&ジュリエット

「なるほど……それが、うちの母上がなにゆえそなたを邪険にしたのか、というのに通ずるのじゃな」

寿々乃はにやり、と不敵に笑った。

まるで「浮世絵与力」だ。
誠にこの姉と弟は似ている。

「わたくしとしぃちゃんの仲じゃ。
……ずばり、訊きまする」

寿々乃が志鶴をしかと見つめる。


「そなた……『梅ノ香』のことを聞き及んだのではあるまいか」

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