大江戸ロミオ&ジュリエット
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「……父上」
青白く強張った面持ちの多聞が、座敷に入ってきた源兵衛にいきなりひれ伏した。
「なんでぇ、藪から棒によ。気色の悪りぃ」
源兵衛は訝しげに息子を見つつも、どかっと腰を下ろした。
「松波 多聞、一世一代の頼みがあってござる」
多聞はひれ伏したまま告げる。
男子十五歳にしての立志だ。
孔子先生も「吾十有五而志於学〈吾十有五にして学に志す〉」と云って、十五で己の進むべき道を定めたではないか。
「ある者を身請けして……我が妻にしとうござる」
「……父上」
青白く強張った面持ちの多聞が、座敷に入ってきた源兵衛にいきなりひれ伏した。
「なんでぇ、藪から棒によ。気色の悪りぃ」
源兵衛は訝しげに息子を見つつも、どかっと腰を下ろした。
「松波 多聞、一世一代の頼みがあってござる」
多聞はひれ伏したまま告げる。
男子十五歳にしての立志だ。
孔子先生も「吾十有五而志於学〈吾十有五にして学に志す〉」と云って、十五で己の進むべき道を定めたではないか。
「ある者を身請けして……我が妻にしとうござる」