大江戸ロミオ&ジュリエット
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不忍池のほとりの、奥まったところにある茶屋らしき店に連れて行かれた。
先達て、島村 尚之介の計らいで梅ノ香と会ったあの料理茶屋に似た、二階家の店構えだ。
尚之介が云うには、あの料理茶屋は深川だけでなく、江戸でも指折りなのだそうだ。
もともと、料理など出される手はずも為されてなかったが、出された茶の一杯も志鶴は飲んでいなかった。品の良い香りからして、京の宇治からの下りものだったかもしれぬ。
少し、惜しいことをしてしまった。
「おい、なにやってんだ。入ぇるぜ」
立ち止まってぼんやりしていた志鶴の手を、多聞がくいっと引っ張った。
「よりによって、こないな処で立ち止まってくれるな……おれが此処へ無理矢理おめぇを引っ張り込むみてぇじゃねぇか」
多聞は怒っているというよりも、なぜか困った顔をしていた。
不忍池のほとりの、奥まったところにある茶屋らしき店に連れて行かれた。
先達て、島村 尚之介の計らいで梅ノ香と会ったあの料理茶屋に似た、二階家の店構えだ。
尚之介が云うには、あの料理茶屋は深川だけでなく、江戸でも指折りなのだそうだ。
もともと、料理など出される手はずも為されてなかったが、出された茶の一杯も志鶴は飲んでいなかった。品の良い香りからして、京の宇治からの下りものだったかもしれぬ。
少し、惜しいことをしてしまった。
「おい、なにやってんだ。入ぇるぜ」
立ち止まってぼんやりしていた志鶴の手を、多聞がくいっと引っ張った。
「よりによって、こないな処で立ち止まってくれるな……おれが此処へ無理矢理おめぇを引っ張り込むみてぇじゃねぇか」
多聞は怒っているというよりも、なぜか困った顔をしていた。