大江戸ロミオ&ジュリエット

(たな)の中に入ると、すぐさま番頭らしき男が出てきた。

「二階の奥にご案内しやす」

番頭がそう云って一礼すると、多聞が肯いた。

「料理は今からだと、どのくらいかかる」

多聞が訊くと、番頭が「四半刻(三十分)近くはかかりやす」と答えた。

(あい)わかった……そいじゃ、まず酒だ」

番頭は「へい、わかりやした」と頭を下げた。

志鶴は、いくら非番とはいえ、かような昼日中からご(しゅ)を召されるのか、と驚いて、夫をきゅっと睨んだ。

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