大江戸ロミオ&ジュリエット

(おもて)を上げよ、志鶴殿。尼削ぎ(御河童)(かしら)だった頃から知るそなたを、悪いようにはせぬ」

そう云って、玄丞はふっと笑った。

以前、志鶴が松波の家で倒れたときのことを思い出したのだ。あのとき、多聞からもまた相手の家には「御内密」にするように頼まれた。

いかなる理由があるのかは知らぬが。
多聞を(おもんぱか)ってのことであるには違いない。


……すっかり、夫婦(めおと)らしゅうなりおったな。

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