大江戸ロミオ&ジュリエット
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腹に子が宿った志鶴は、男物の冬物の綿入れを仕立てたのち、今度は生まれてくる赤子のための産着を縫い始めた。
だが、あまり根を詰めると、また胃の腑の辺りが締めつけられたようになって、吐き気がしてくるゆえ、無理はできぬ。

今日も心配した兄の佐久間 帯刀と島村 尚之介が、志鶴のいる縁側までやってきた。

「あっ……今、お茶を持って来させるゆえ」

志鶴は縫いかけの真っ白な産着を置いて、立ち上がろうとする。

「おお、よい、よい。わしが女中に告げるゆえ、おまえは動くな」

帯刀があわてて志鶴を制す。

「兄上にさようなことまでさせて……申し訳ありませぬ」

志鶴は頭を下げた。

そして、帯刀は女中たちのいる(へっつい)のある土間へ向かって行った。

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