大江戸ロミオ&ジュリエット

「……志鶴殿」

尚之介の切れ長の澄みきった目が、志鶴をまっすぐに射抜いた。

「尚之介さまにもご心配をおかけして、申し訳ありませぬ」

志鶴は深々と頭を下げた。
尚之介は静かに首を振った。

「おぬしの兄上から聞き申した。
……南町の家を出られるとは本当(まこと)でござるか」

心に染み込むように響く低い声で、尚之介が尋ねた。

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