大江戸ロミオ&ジュリエット

多聞は抱きしめた志鶴の(せな)を、やさしく何度もさすった。

志鶴が幼子のように泣きじゃくり、多聞にしがみついてきた。幼き頃より聞き分けのよかった志鶴は、実の親にすら、こないなことはしたことがなかった。


しばらくして、嗚咽が収まった志鶴がぽつりとつぶやいた。

「……わたくしは……だれかの『身代わり』は
……(いや)でござりまする」

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