イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「別に高くなんかないよ。いたって普通だろ。それに、今日は藤沢がいたからそうでもなかったけど、氷見さんって意外と肉食系だよ。二人きりの時とかグイグイくる」

「えっ、本当ですか?」

 あの氷見さんが!? そんなの全然想像がつかない。


「世間一般の人があの人のことをどう思ってるは知らないけど、俺には氷見さんじゃないんだよ。それに仕事上の付き合いだからって下手に食事とかに付き合っておもしろおかしく報道されて、SNSとかで炎上されても困るしね」

 そっか、有名人同士だもん。そういう心配もしなきゃいけないんだ。


「そんなことより、さすが藤沢。いい仕事してくれたよね」

「え、私なんかしましたっけ?」

 満足そうに微笑む智明さんを見て、首を傾げる。


「気づいてないの? 藤沢、あの人の前で俺のこと名前で呼んだよ」

 あっ、そういえばそうだったかも……。


「ん? ちょっと待ってください。でもその後お家元も私のこと呼び捨てにしましたよね?」

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