イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「え?」
友人だって言っていたはずけど、父と羽根木さんの間に何かあったんだろうか。
尋ねようとすると、羽根木さんはベッドの上の父を心配そうに見つめていた。
「……それで、圭吾さんの容態は?」
担当医から聞いたことをそのまま説明すると、羽根木さんは眉間のしわをさらに深くした。
つらそうな表情に、私の胸も痛む。
「圭吾さんのことでも、君自身のことでもなんでもいい。困ったことがあれば僕を頼ってください。いつでもすぐに飛んできますから」
「ありがとうございます……」
「お願いします。その際は、ぜひこちらに連絡を」
羽根木さんは名刺の裏に携帯の番号を書き入れると、私に手渡した。
「ご迷惑でなければ、後で結月さんの着信を残しておいてください。圭吾さんの容態を知りたいので、また私からも連絡を入れさせてもらいます」
「……わかりました」
私がこくりと頷くと、羽根木さんはようやく安心した笑みを見せた。