イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「すみません、長風呂しちゃって」

「いいんだよ。結月も着替えたんだね。その浴衣よく似合ってる」

「ありがとうございます。……智明さんも、とっても素敵です」


 仕事で着物姿はよく見ているはずなのに、浴衣姿の智明さんは男の色気が増してさらにかっこいい。ドキドキして、つい伏し目がちになってしまう。

 そんな私を不思議そうにのぞき込むと、智明さんは私の手をそっと握った。


「夕食もう用意できてるよ」

 智明さんに手を引かれて和室に戻ると、大きな杉のテーブルいっぱいに豪華な料理が並んでいた。


「うわぁ、こんなにたくさん。贅沢ですね」

 一つひとつ丁寧に盛られた、繊細な料理の数々を見て、思わず感嘆の声を上げた。

「結月座って。冷めないうちにいただこう」

「はい」


 智明さんと向かい合わせに座り、料理に舌鼓を打つ。ちょっとずつお酒もいただきながら、久しぶりに智明さんとたくさん話をした。


 開催を控えた花展のことや大ヒットした映画のこと。葛城さんが海外支部に行った後の香月流のこと。私が毎週通っているいけばなのお教室のことに、智明さんとおじいさまの思い出話。そして、リハビリを頑張っている父のこと。


 二人でたくさん食べて、飲んで、しゃべって。こんなに楽しいのは久しぶりで、この夜がもっと続けばいいのにと心から思った。



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