イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

 すっかり料理も食べ終えて、食後のお茶を淹れていると、「結月、酔い覚ましの散歩に出ない?」と智明さんに誘われた。

「いいですね。行きましょうか!」


 ゆっくりとお茶を味わって、私と智明さんは連れ立って離れの外に出た。小川まで続く小道を竹灯りが照らしている。


「結月」

 少し後ろを歩いていた私に、智明さんが手を差し出す。

「はい!」

 堂々と、智明さんと外で手を繋げることが嬉しくて、私はその手をきゅっと握った。


 私と智明さん以外誰もいない庭に、竹林のざわめきや虫の鳴く声が響く。

「だいぶ涼しくなりましたね」

 お風呂上がりで火照った頬に、ひんやりとした夜風が当たりとても気持ちがいい。


 本当に静かなところだ。東京から数時間で、こんな場所に来られるだなんて、なんだかまだ信じられない。

 離れからしばらく歩くと、小川が流れているのが見えた。川面に臨むように設置されているベンチを見つけると、智明さんと私は一緒に腰掛けた。



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