イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「智明さん、こんな素敵なところに連れて来てくださって、本当にありがとうございます」
想像もしてなかったサプライズに最初はびっくりしたけど、今日智明さんとここに来られて良かった。私が言うと、智明さんは嬉しそうに目を細めた。
「慣れない仕事と圭吾さんの看病、四月からの結月は忙しくて立ち止まる暇もなかっただろう? この旅行は、頑張った結月への俺からのご褒美だよ」
「智明さん……」
慣れないがゆえに失敗することも多くて、智明さんには迷惑をかけどおしだったのに。そんな風に言ってもらえると、涙がこぼれそうになる。
「なに泣いてるの」
「……だって、嬉しくて」
智明さんに泣き顔を見られないように顔を伏せたのに、涙の気配を感じたのか、あっさり気づかれてしまった。私の顔をのぞきこむと、智明さんはほんの少し困ったような表情を浮かべる。
「結月は、泣き虫だなぁ」
「……これは嬉し泣きですよ」
「わかってる」
そう答えると、智明さんは隣に座る私の肩を抱き寄せる。
「嬉し涙でも、結月に泣かれると弱いんだ」
肩を抱く手に力を込め、智明さんは私の顔を自分の胸に押し付けた。