イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
川べりのベンチで抱き合ったまま、どれくらいの時間が経ったのかわからない。
智明さんはようやく私を離すと、息の上がった私の前髪を搔き上げた。
薄暗がりの中でも、そうとわかる。彼の瞳は私を求め暗い光を放っていた。
この先を知ることを、怖いと思わないわけじゃない。でもそれ以上に、私の体も心ももっともっと彼のことを知りたいと叫びを上げていた。
自分の昂りに戸惑いながらも、おずおずと口を開く。
「智明さん、部屋に帰りましょう……」
そっと彼を見上げると、彼の表情の中にほんの少しの迷いが見て取れた。
迷いは、きっと彼の優しさだ。こんなに性急じゃなく、もっと時間をかけてと、私のために思ってくれているのかもしれない。
でも今はもう、迷ってほしくない。私は智明さんの両手を握り、ベンチから立ち上がった。