イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「お父さんは大丈夫だよ。だから結月ちゃん、お父さんのことを信じて待っていてあげようよ」
「そうですよね。それに、父にはもう私しかいないんだから……」
父方も、母方の祖父母もすでに他界しているし、母もいない。
父には私だけが頼りなのだ。
でもその事実が、私の孤独感をさらに強くする。
「もちろん俺も出来る限りのことはさせてもらうよ。困ったことがあれば遠慮なく言ってね。どうか心を強く持って。信じてお父さんのことを待とう」
「……はい」
部屋の隅に置いていた鞄を取り、白井さんは出口へ向かう。私は彼に再び頭を下げた。
「それじゃ行くね」
「ありがとうございました」
白井さんが帰り、病室にはまた静寂が訪れた。