独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

 嬉しくて感動的で胸がいっぱいで言葉が出てこない。出てくるのは嬉し涙だけで、ポロポロと涙を零しながら何度も頷いた。

「じゃあ、左手だして」

 立ち尽くして泣いている私の手を握り、智也は左薬指にエンゲージリングをはめてくれた。

「智也、ありがとう……! すごく嬉しい」
「喜んでくれて嬉しい。前にこういうプロポーズしてほしいって言っていたから」

 私たちが婚姻届を提出しに行った日、そんなことを言ったっけ。
 それを覚えていてくれて、こうして実行してくれたことがとても嬉しい。
 彼からのサプライズ演出に感動していて、ちゃんと見れていなかったけれど、よくよく指輪を見るとこれってエンゲージリングじゃない?

「ね……ねぇ。これってエンゲージリングだよね? 私たちもう結婚しているんだからマリッジリングなんじゃ……」
「うん、でもマリッジリングは結婚式のときに交換しよう」
「え?」

 結婚式? え、今、結婚式って言った?


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