独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「着いたよ。平日の昼間だから空いているみたいだな。さ、行こう」
「はい」

 順番待ちをせずにすぐに役所の人に渡すことができた。記入漏れがないかと、戸籍など必要書類も揃っているか確認される。

「では少々お待ちください」

 受付の方の処理手続きを見つめてドキドキしていた私は、一旦退席されたので一息ついた。

「夢……ってさ」
「……はい?」

 急にまた話の続きが始まって、一瞬何の話か分からなくて気の抜けたような返事をしてしまった。

「もしかして、僕と結婚してください的なプロポーズをされるときに、指輪ケースをパカッとされたいとか?」
「……ですね」
「うわぁ、ベタ」
「ベタですけど、あれって乙女の憧れです」
「乙女……ね」

 と、冷ややかな声で言われたのと同時に、受付の方が戻ってきた。


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