目覚めたら、社長と結婚してました
「ほかに理由がいるのか?」
さらに冷静に付け足され、私は狼狽えるしかない。
「だ、だって私、どう考えても社長の好みのタイプじゃないと思うんですけど?」
どうしてか、その発言に彼は一瞬だけ苦い表情を見せる。
「それを言うなら、お前だって俺のことは好みじゃないだろ」
眉間に皺を寄せて社長は言い放った。好みというか、結婚するならできれば話が合って、一緒にいて飾らずに安心できるような人がいい。
そういう意味で彼はまったく当てはまらない。話も合いそうにないし、一緒にいると緊張しかない。……とはいっても。
「い、いえ。社長は十分に素敵ですよ。少し愛想が足りないのが残念とも思いますが、それも魅力と言えば魅力ですし。外見にしても、立場的にも正直、私にはもったいないと言いますか……」
立て板に水のごとく続けると、社長の目がわずかに見開かれる。
って、なんで私がこんなに一生懸命フォローしてるの!? 普通、逆じゃない?
自分の立ち位置を思い出し、私は改めて彼を見た。
背も高く、くっきりとした目鼻立ち、濡れたような艶のある黒髪はきっちりと整えられている。
怒っているわけではないんだろうけれど、眼光が鋭くて他者とは違う圧倒的なオーラを纏っている。エリートで経営者としての才覚も持ち、多くのものを背負っている彼はやはり特別な人間だ。
本当に、そんな彼とどうして私が……。
「それでも、お前は俺を選んだんだ」
彼の言葉に意識を戻す。いつの間にか社長は椅子から立ち上がりベッドのすぐそばまで来ていた。自然と彼を見上げると社長はベッドに手を置き、こちらと視線を合わせてきた。
さらに冷静に付け足され、私は狼狽えるしかない。
「だ、だって私、どう考えても社長の好みのタイプじゃないと思うんですけど?」
どうしてか、その発言に彼は一瞬だけ苦い表情を見せる。
「それを言うなら、お前だって俺のことは好みじゃないだろ」
眉間に皺を寄せて社長は言い放った。好みというか、結婚するならできれば話が合って、一緒にいて飾らずに安心できるような人がいい。
そういう意味で彼はまったく当てはまらない。話も合いそうにないし、一緒にいると緊張しかない。……とはいっても。
「い、いえ。社長は十分に素敵ですよ。少し愛想が足りないのが残念とも思いますが、それも魅力と言えば魅力ですし。外見にしても、立場的にも正直、私にはもったいないと言いますか……」
立て板に水のごとく続けると、社長の目がわずかに見開かれる。
って、なんで私がこんなに一生懸命フォローしてるの!? 普通、逆じゃない?
自分の立ち位置を思い出し、私は改めて彼を見た。
背も高く、くっきりとした目鼻立ち、濡れたような艶のある黒髪はきっちりと整えられている。
怒っているわけではないんだろうけれど、眼光が鋭くて他者とは違う圧倒的なオーラを纏っている。エリートで経営者としての才覚も持ち、多くのものを背負っている彼はやはり特別な人間だ。
本当に、そんな彼とどうして私が……。
「それでも、お前は俺を選んだんだ」
彼の言葉に意識を戻す。いつの間にか社長は椅子から立ち上がりベッドのすぐそばまで来ていた。自然と彼を見上げると社長はベッドに手を置き、こちらと視線を合わせてきた。