地下室のフィアンセ ~秘密を愛しすぎた獣~

監禁されてから数ヵ月が過ぎた。


「うぐぅ、うええぇぇぇぇぇ…!」


例の部屋からはときどき強烈に獣くさい匂いがした。


「うごぇぇ、げぇぇ…………」


吐き気すら伴うほど強烈な臭いだった。


しかし、医者をしている女には、その臭いに覚えがあった。


『死臭』


腐敗した死体が発する、人体にとってもっとも拒否反応の強い臭いの一つだ。


同時に、女は気を許しかけていたあの男に再び恐怖を感じた。


明かにあの部屋には、普通ではない何かが隠されている。


強烈な臭いのする……死臭のような臭いのするなにか。


例えば、獣や、人の死体が……あの部屋に隠しているのかもしれない、と、女は思った。
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