幼馴染みと、恋とか愛とか
同じ部屋で仕事をしてるのも他に空き部屋がないからだし、萌音を秘書にしたのも成り行き上のことだ。


「僻みと言われてもいいです。実際僻んでますし、どうして社長だけって気分ですから」


駄々っ子か?と思われるような一面を見せると、首藤はパシッとデスクの上にコピー用紙を置いた。


「午前中に頼まれてたものを検討してみました。詳細はこれに記載してますから確認しておいて下さい」


口調は丁寧だが、明らかに仏頂面だ。
くるっと反転する奴の背中は怒ってるようで、一瞬マズいな…とは思ったが。


「いつも済まない首藤。感謝してるよ」


大人な対応でお礼を言うと、ちらっと目線を向ける首藤の口元が仕様がなさそうに歪み……。



「…いえ、これも仕事ですから」


立場は弁えてますと言いたげな感じで言い返して、真っ直ぐドアまで進んで出て行く。



「はぁーっ」


ホッとしたと言うか、変に緊張した。
あいつは怒らせると案外と厄介で、萌音以上に面倒くさいのを知ってるからだ。



(それにしても……)


バクッと口の中にかぼちゃの煮つけを放り込む。

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