キネウム王子とイーディス姫の溢れ出るパトス
「重い、どうにかならないのこれ」

イーディスは白い袋を背負い

闇市をのしのしと歩きます

その姿にリス達は目を奪われ

我先にと声をかけますが

イーディスはそれを無視し

マリに話しかけました

「ねぇマリちゃん、欲しい物ある?」

「なんでも買ったげるよ」

マリはキョロキョロと周囲を気にしながら

イーディスに小声で言いました

「姫様・・・さっきからあの・・・」

「・・・マリちゃんって?」

「はぁ?君に決まってるじゃん」

「あ、もしかして名前あったの?」

「だったら早く言ってよー」

「あたしてっきりこの世界の住人達には」

「名前が無いものだと思ってたさー」

マリは近くにあった切り株に

ちょこんと座り話始めました

「・・・私達蛙には名などありません」

「ついこの間まで」

「ただの蛙だったのですから」
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