溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
翔太の口から意外な言葉が出てきて驚く。

こいつが人を褒めるのは珍しい。

“楓に手を出すなよ”と釘を刺そうと思ったがやめた。

それでは、逆効果だ。

俺が楓に『俺に絶対に惚れないこと』と言ったように、相手に意識させてしまう。

『俺には全部胡散臭く聞こえる』

顔をしかめて言えば、翔太は笑顔で否定した。

『心から言っていますよ』

『どうだか?お前、俺と親父が揉めたら面白いぐらいに考えているよな?』

腕を組んで見据えるが、こいつは全く動じない。

『心外ですね』

『お前と何年の付き合いだと思ってる?』

『赤ちゃんの頃からなんで三十一年ですかね』

翔太はニコニコ顔で答えた。

そう、こいつは十代に見えるが、実は俺とひとつしか変わらない。

頭も切れるし、楓にはまだ伝えていないがうちの会社の役員もしている。
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