溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
庭付きの家に引っ越して、ペットを飼って、子供が出来たら近くの公園で一緒に遊んで……。

笑いの絶えない家が頭に浮かぶのだ。

実は、広尾に新居のための土地も買ってある。

気が早いと翔太に笑われそうだが。

「……は……遥、ケーキ……美味しい」

眠りがまだ浅いのか、楓が笑みをこぼしながら寝言を言う。

GWに買ってやったケーキを食べている夢でも見ているのだろうか?

結局、二日目の釣りで彼女はリベンジを果たし、二十一匹魚を釣り上げた。

その中に、大物も一匹いた。

ひょっとしたら前日釣り逃した魚だったのかもしれない。

あの時は、お互い何もかも忘れてリラックス出来たと思う。

心も身体も休息は必要だ。

タクシーがマンションの前に着くと、楓をつついた。

「楓、着いたぞ」

彼女は俺の声に反応してムクッと上体を起こす。
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