溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
カードで支払いをすませると、寝惚けたまま歩く楓を支え、家に入った。

「ただいま」

そう言って彼女は玄関に突っ伏す。

その姿を見て唖然とした。

ドラマでよく見かけるが、本当に玄関に寝そべる奴いるんだ。

「お前……そんなんでよく一人暮らししてたな」

楓のパンプスを脱がし、その身体を抱き上げて彼女の寝室に運ぶ。

ベッドに寝かせると、声をかけた。

「服がシワになるから、着替えろよ」

「う……ん」

返事をするも彼女が動く様子はない。

「楓、着替えろ」

語気を強めて命じるが、それでもこいつは着替えなかった。

「眠……い」

「やれやれ、世話が焼ける」

ハーッと溜め息をつくと、楓の服に手を伸ばしてジャケットだけ脱がす。

だが、不意に彼女の胸元が目に映り、すぐに布団を被せた。

シミひとつないみずみずしい肌。
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