溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
スプリングコートを脱いで、ブラウスのボタンに手をかけるも、指が滑ってボタンがつかめない。

「あれ?あれれ?なんで?遥、ボタンが外れない」

子供のようにジーッと彼の顔を見つめれば、チッと舌打ちが聞こえた。

「ったく、世話の焼ける」

悪態をつきながらも、遥は私の側に来てボタンをひとつひとつ外していく。

その慣れた手つきに関心してしまう。

さすがプレイボーイ。

百戦錬磨の男は違う。

今まで何人の女性の服を脱がしてきたのか。

そう思った時、私の心の中の悪魔が囁いた。

“じゃあ、彼に抱いてもらえば?”

身元はしっかりしてるし、変な病気も持ってないと思う。

それに、きっと女の人なんて抱き慣れててテクニックに長けているはず。

行きずりの男を誘うより、安全だ。

「ねえ、しようよ」

遥にそう声をかけるが、彼は「はあ?」と片眉を上げる。
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