溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない

そんな希望を抱いた時、後ろから来ていた遥が私の元まで来てスマホで誰かに連絡を取った。

それはさっき彼が使った通信アプリ。

「翔太、今俺がいる現在地確認して救助要請してくれ」

遥は外の様子を窺いながら翔太君と話す。

『了解です。ニュースでも凄い騒ぎですよ。救助が来るまで何とか頑張って下さい』

いつになく緊迫した翔太君の声。

「ああ」

遥はスマホを操作して通話を終わらせる。

「ねえ、そのアプリって何？」

私が知らない間にダウンロードされてて不思議に思った。

「うちで開発中のやつ。通信を傍受されず、こういう非常時でも繋がる。他のツールは通信回線が遮断されたのか、全く使えなかったがな」

「……これのお陰で遥と連絡が取れたんだ」

遥に会えなかった可能性もあったかもしれない。

そう考えるとゾッとする。