溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
修也が焼いたのは可愛い男の子の顔で、俺が焼いたのにはへのへのもへじ。

「差別じゃないか?」

わざと顔をしかめると、楓がククッと笑った。

「ありのままを描いたよ」

「ありのままねえ」

そう呟きながらヘラで食べやすいサイズに切っていく。
出来上がりを楓の皿に乗せようとしたら、修也も同じタイミングで乗せようとしてかち合った。

「あっ」

……癖とは恐ろしいものだ。

最近、楓の世話をするのが当たり前になっていた。

「お前の代わりに楓の保護者役やってたから、つい習慣でな」

苦笑しながら手を引っ込め、修也に譲る。

「遥がここまで世話焼くとはね。明日は雪でも降るんじゃない?」

修也がニコッと笑いながら俺を冷やかす。

『雪』という単語に反応して俺も楓も固まった。

一瞬の静寂。
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