溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
寝ぼけて俺のところに来たんだな。

「お前、怖かったら、修也のとこに潜り込むのかよ」

ツンと彼女の鼻をつつく。

修也に恨みはないが、なんだか胸がもやっとする。

兄妹でもマズくないか?

それにしても、朝起きたらこいつ発狂するだろうな。

大騒ぎする様子が容易に目に浮かぶ。

クスッと笑みをこぼしながら、持っていたスマホで彼女の寝顔を撮る。

もし、この写真を修也に送りつけたら、どう思うだろう?

こいつを溺愛しているし、心穏やかではいられないかもしれない。

まあ、送らないけど。

【それで……楓と今日釣りに行ってきた。今は元気にしてるよ】

最後にそう締め括って、釣りの写真をメールに添付する。

修也にメールを送ると、彼女の背中に腕を回してそっと抱き寄せた。

その温もりにあの夜のことを思い出さずにはいられない。
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