溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「やっと起きたか」と笑って起き上がれば、楓は飛び退いて「ぎゃあ〜!」と叫ぶ。

予想を裏切らないその反応に、爆笑した。

「お前、騒がしいって旅館の人から注意されるぞ」

「だって、なんで遥と一緒に寝てるの?」

「楓が寝ぼけて勝手に俺のところに来たんだからな。お前、寝言は言うし、いびきはかくしで、お陰で俺は寝不足」

そう文句を言って、わざと顔をしかめた。

「それはごめんなさい……って、私いびきかかないよ」

ハッと我に返って彼女は慌てて否定する。

「グースカ寝てた奴が何言ってんだか。それより袂直せよ。浴衣がはだけてる」

指を指して教えれば、彼女は自分の姿を見て一瞬にして顔を赤く染めた。

「え?わ〜!」

胸元を押さえて、楓は隣の部屋に逃げ込む。

下着が見えて肌が露わになっていたのだ。

その姿で密着されたのだからたまったものではない。


< 96 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop