わたしと専務のナイショの話
「まあ、大学もこの近くではあるんですけど。
 ちょうど大学生のとき、父が転勤になったので、実家がこっちに引っ越してきたんです」

 そこで、京平は溜息をつくと、おのれの立場を憂い始めた。

「残念ながら、俺は此処では、まだ、なんの権力もないからな。
 押し付けられたお前を受け止めるしかない」

 そこで、そうか! となにかに気づいたような顔をする。

「使えないお前を採用したのは、もしや、常務の罠かっ?
 俺にミスを誘発させるためにお前を雇ったとかっ?」
とこの失礼な元教師は言ってくる。

「……違うと思います。
 あと、先生、生徒は褒めて伸ばしてください」

 全部ダメ出しとかナシでしょう、と思いながら言うと、京平は、なにを言う、という顔でこちらを見、
「お前はもう俺の生徒じゃない。
 社会人なら、既にある程度、完成されてこい」
と言ってきた。

 ごもっともです……と思いながら、
「失礼します」
と去ろうとすると、

「待て」
と言われる。

「お前、誰にも俺の話をしてないだろうな?」

 御堂にも、と言われる。
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