わたしと専務のナイショの話
 いや、名前呼んだだけで、夢中ってこともないと思いますけどね……。

「今後、京平さん、以外の呼び名は受け付けないからなっ」

「いや、じゃあ、仕事中に京平さんって呼んでもいいんですか……?」

 一瞬、うっ、と詰まった京平は、
「……呼べよ」
と言ってくる。

 どんだけ負けず嫌いなんですか、貴方。

 ほんとに呼ぶぞ、と思っていると、
「ところで、今日、もし、遅くなったらだが」
と話をすり替えてきた。

「あ、大丈夫ですよ。
 私、電車で帰りますから」
とのぞみが言うと、

「めんどくさいんだろうが、乗り継ぎが」
と言ってくる。

 ほら、と京平は鍵をのぞみの膝に投げてきた。

 え、と思っていると、

「うちの鍵だ。
 会社から近いから、お前、そこ行って待ってろ」
と京平は言ってくる。
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