わたしと専務のナイショの話
 慌ててついて入ると、
「いらっしゃいませ」
と制服姿の素敵なお姉さんが微笑みかけてくる。

 京平は軽く、
「今度、家を建てるので、少し見せてもらってもいいですか。
 ああまだ、具体的に設計士と話してはいないので、見るだけで」
とお姉さんに言っていた。

 はい、では、ごゆっくりと微笑んで、お姉さんは居なくなったが。

 ……今度家を建てるのでって言ったら、なんか私たちカップルみたいなんですけど、とのぞみは赤くなってしまったが。

 自社の製品を眺める京平はまるで気にしていないようで、ちょっと腹立たしい。

「あのー、全然、軽く眺める感じになってないんですけど……」

 京平の後ろをついて歩きながら、のぞみは言う。

 京平の目線が完全に業者のものだったからだ。

 なんか競合他社の人が偵察に来たみたいな雰囲気なんですが、とさっきのお姉さんを気にしたのだが、お姉さんは、ちょうど入り口で他の客を出迎えていて、気づいてはいないようだった。
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