わたしと専務のナイショの話
 



 振り向くと、部下らしき人物を従えた若い男が立っていた。

 金持ちっぽくて、偉そうな、というイメージ写真が販売されていたら、きっとこんな感じ、みたいな男だった。

 イケメンだし、堂々としてて好き、という女子も居るだろうが。

 ……さっちゃんとか言いそうだな、とのぞみが大学の友人の顔を思い浮かべたとき、男が京平を罵り始めた。

「お前、結局、教師辞めて、家の仕事を継いだそうじゃないか。
 まあ、昨今、教師も大変だからな。

 坊っちゃん育ちのお前には無理だったんだろ」

「あのー、誰なんですか? この人」
と小声でのぞみは、京平に訊いた。

「……大学で一緒だった、さっきの会社の跡取り莫迦息子、樫山淘汰(かしやま とうた)だ」

 どうやら、先ほど居なくてよかったと言っていたのは、この人のことらしい。
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