わたしと専務のナイショの話
 


 夜、のぞみは、一旦、家に帰ったあとで、迎えに来てくれた京平とレストランに食事に来ていた。

「此処は、樫山が教えてくれたんだ」
と京平は言う。

 京平と出会わなかったら、一生来なかったかもな、と思う類いのレストランだ。

「いや~、こういうお店は緊張しますけどね~」
と薄暗い店内を見回し、言うのぞみに、

「客が緊張する必要はないだろ。
 店の人はくつろいで楽しんで欲しいと思ってるんだし」

 まあ、そうなんですけどね、と思っていると、

「お前は別に何処に連れていっても問題ないよ。
 お母さんがきちんと育ててくださったからだろうな。

 家が良くても、マナーのなってない奴も居るしな。

 どんな店でも、人様を不快にしない程度の行動ができて、美味しく食事をいただけるのなら、別に細かいことはいいんだよ」

 そう京平は言ってきた。

 そ、そういっていただけると、ありがたいんですが、と思いながらも、
「でも、あんまり高いお店に行かれるときは、先に行ってくださいね。
 カジュアル過ぎたり、スーツでも安い店のだったりすると、入るとき、ドキドキするんで」
とのぞみが言うと、

「今日の服はいいじゃないか。
 可愛いぞ」
と京平は言ってくる。
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