わたしと専務のナイショの話
「まあ、お前も挫折を知って、少しは大人になっただろ」

 そう言われた京平は樫山を見返し、言い返していた。

「挫折なんかしてしてないぞ。
 俺は帰りたいから帰ってきたんだ。

 そして、やりたいから、この仕事をやっている。

 俺の人生は順風満帆だっ!」

 まあ、ある意味、そうですよね~。
 教師辞めたら、専務とか、と思うのぞみたちの前で、樫山は勝ち誇り言い出した。

「俺はもう結婚も決まったんだ。
 早苗と結婚する」

「誰なんですか? 早苗さんって」
と小声で訊くと、

「サークルで一番モテてた女だ」

 ぼそりと京平がそう言ってくる。

「あいつ、お前のことが好きだったのに。
 お前が、会社の跡を継がずに、教師になるとか言うから、愛想つかして俺のところに来たんだぞ」
と嬉しそうに樫山は言うが、いや、それだとその人、ただの金目当てではなかろうか、と思っていた。
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