わたしと専務のナイショの話
 



「いやあ、よかったよかった。
 なにか奢ってやろう。

 お前の、中身を知ったあとでは、あまり価値のないその外見が役に立ってよかった」
とはなはだ失礼なことを京平は言ってきたが。

 駐車場に戻った辺りで、冷静になってきたらしく、
「よく考えたら、なにもよくはないぞっ」
と叫び出した。

 いや、そうですよね……と思うのぞみに、京平は、
「お前がショールームに寄りたいとか言ったからだっ」
と八つ当たりを始める。

 余程、樫山という男と相性が悪いらしい。

「もういい。
 帰るだけだから、俺が運転する」
と言うので、のぞみが後部座席のドアを開けかけると、

「後ろに乗るなっ。
 お前が専務かっ」

 助手席に乗れっ、と京平は言ってきた。

 いや、横に乗ったら、それこそ、彼女のようなのですが……とは思ったのだが、今、逆らったら、更にめんどくさいことになりそうなので、黙って乗った。


 


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